【ハロー!メッセージ】「成年後見促進法」って何?
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成年後見制度が施行され、早くも16年目を迎えます。

しかし、制度利用者数は伸び悩んでいると言わざるをえません。

そんな中、今国会で、「成年後見促進法」が審議され、可決の見通しも立ってきているようです。

安倍総理自らが会長を務める「成年後見制度利用促進会議」発信の「成年後見促進法」が

どのような役割を果すのか、本日は、「成年後見制度」の新機軸、認知症に事前準備する

「任意後見」に的を絞って、弁護士の浜田正夫さんにお話を伺います。

インタビューは、任意後見サポーターの傍士毅一さんです。

 

傍士:浜田さん、本日はよろしくお願いいたします。

 

浜田:こちらこそ、よろしくお願いします。

 

傍士:先ず、「成年後見促進法」の基本理念についてお話しいただけますか。

 

浜田:基本理念は3つです。 一つ目は、成年後見制度の理念の尊重、

つまり、「1、ノーマライゼーション、2 自己決定権の尊重、3、身上保護の重視」。

二つ目は、「地域の需要に対応した制度の利用促進」。

三つ目が、「制度利用の社会体制の整備」となっています。

また、基本理念に基づいた基本方針も決められていますが、注目すべき点は、

「任意後見制度の積極的な活用」、「国民に対する周知」というテーマが盛り込まれていることです。

 

傍士:注目すべき点について分かりやすくご教授ください。

 

浜田:先ず、「任意後見制度の積極的な活用」ですが、これまで成年後見制度と言えば、

認知症になった人が事後的に利用する制度というイメージがありました。

従って、認知症になったときのために、準備しておくことのできる任意後見については、

あまり注目されませんでした。

その原因は、高齢者のほとんどが、「自分だけは認知症になりっこない」という思い込みにあると

思いますが、認知症が「国民病」になりつつある現在、行政が、悠長に構えている場合ではない

と判断したと思います。

基本理念にもあるように、自己決定権の尊重という人権を重視した任意後見が積極的に活用される

方向に舵が切られたことは大変喜ばしいことだと思います。

また、「国民に対する周知」については、国が主導して、地方公共団体や家庭裁判所、

成年後見実施機関や成年後見関連事業者などと連携を図って周知活動を行っていく方針の

ようですので、大いに期待したいところです。

「任意後見の周知」について言えば、公証役場や公証人、任意後見関連NPO法人や団体等が

中心となって積極的な活動していくことが大切だと思います。

 

傍士:浜田さん、ありがとうございます。

確かに2025年には認知症患者が700万人になるという推計を昨年1月に厚労省が発表しましたし、

慶應義塾大学医学部グループによると、認知症の社会費用は2014年の推計で14兆5千億円に

上るというびっくりするような数字が発表されています。

 

浜田:そうですね。私も驚きました。 あるNPO法人は、認知症と軽度認知症(MCI)、

プレアルツハイマーまでを視野に入れると、2025年には1,500万人にもなるという

推計を出しているようです。

そうなると、65歳以上の高齢者の2人に1人、人口比率でみても、国民10人に1人以上が

認知症もしくは認知症の予備軍ということになりますね。

 

傍士:私も今年で62歳ですので、「任意後見」を考えています。

浜田さんおすすめの「任意後見」利用術お聞かせください。

 

浜田:先ず、人は誰しも加齢とともに認知症になるリスクが高まりますので、

「自分だけは認知症にならない」という思い込みを捨てることです。

そして、もしも自分が認知症になったら、家族や回りの人がどれほど困難に直面せざるを得ないかを

想像してみることです。 傍士さんも自分にあてはめて考えてみてください。

 

傍士:やっておかなければならないことが次々と浮かんできます。

でも、何と言っても「お金」に関することは真剣に考えざるを得ないですね。

 

浜田:その通りだと思います。 

仮に、任意後見しないで認知症になると、「法定後見」を利用することになりますが、

法定後見人は、家庭裁判所が選任するので、お金のことについても

第三者(弁護士や司法書士)が管理することになり、自分の意思は尊重されませんし、

第三者への報酬も発生します。

「任意後見」を利用すれば、お金のことに限らず、

いろいろなことを自由に決めておく ことができますし、

決めたことを実行してもらう任意後見人も自由に決めることができます。

例えば、奥様や子供、孫でも成人していて要件を満たしていれば問題ありません。

大事なことは、信頼できる人を選ぶことです。

 

傍士:ありがとうございます。

ところで、「任意後見」は、認知症になったときのことを想定して

いろいろなことを決めておけることは分かるのですが、

仮に私が任意後見人になるとした場合、

何から何まで支援してほしいと言われると

戸惑いを隠せないのですが、どうすれば良いのでしょうか。

 

浜田:そこが、私のおすすめする利用術の真骨頂なのですが、

それには2つのポイントでお答えします。

先ずひとつ目、

巷では、「任意後見」とセットにして「見守り契約、生前事務委任契約、死後事務委任契約」

を勧める向きもありますが、判断能力があるうちから、

何から何まで決めておく必要があるとは思えません。 

セルフケアして、出来る限り自分の残存能力を活かして生活することが

大切だと思います。

促進法の理念にある、「ノーマライゼーション」には、

そんな意味も込められているのではないでしょうか。

従って、認知症になったときに本当に困ってしまうこと、

必要なことを「任意後見」で準備しておくことをおすすめします。

そしてふたつ目、

人は誰しもオールマイティーではないということです。

そのため、「任意後見」は複数の任意後見人を選任することが可能です。

例えば、「お金のことはAさん、不動産のことはBさん、医療介護についてはCさん」

という具合に、適材適所の人選をして支援してもらうことができます。

しかし、前述したとおり、本当に必要でないことまでを「任意後見」することには

疑問を感じざるを得ません。

促進法の基本理念にもあるとおり、需要に対応した制度利用をすれば良いと思います。

私はこのように、必要なことだけを「任意後見」することを「任意後見パーシャル」

つまり「部分的任意後見」と呼んでいます。

 

傍士:浜田さん、本日はいろいろご教授いただき誠にありがとうございました。

また、勉強させてください。よろしくお願いいたします。

 

浜田:こちらこそ、ありがとうございました。 内容について気になることがあれば、

インターネット等を利用して、納得いくまでご確認いただくことをおすすめします。

「成年後見促進法」によって、たとえ認知症になっても、その後の生活を

自分の意思で決めておける「任意後見」が、ますます利用されることを願っております。

 

2016年1月20日 ゲスト:浜田正夫法律事務所  浜田正夫 弁護士

聞き手:一般社団法人 任意後見サポートクラブ任意後見サポーター傍士毅一(ほうじきいち)

オブザーバー:内閣府認証NPO法人 日本スマートライフ協会理事長 佐々和亮