膨らむ医療費、抑える方法はあるの?

Y%20Yahoo%21%20Full%20Life%E3%83%9E%E3%82%AC%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%80%8C%E8%86%A8%E3%82%89%E3%82%80%E5%8C%BB%E7%99%82%E8%B2%BB%E6%8A%91%E3%81%88%E3%82%8B%E6%96%B9%E6%B3%95%E3%81%AF%E3%81%82%E3%82%8B%E3%81%AE%EF%BC%9F%E3%80%8D%E8%A8%98%E4%BA%8B%E7%94%BB%E5%83%8F2016.11.14.jpg

 

厚生労働省は、2015年に病気やけがの治療で全国の医療機関に支払われた

医療費(概算)は、41兆4627億円と過去最高を更新したと発表しました。

前年度と比べると1兆5000億円の増加です。

増加の理由は、高齢化や医療技術の高度化、高額な治療薬の使用などが

あげられています。

 

また、国民一人あたりの医療費は、前年から13,000円増えて32万7000円。

75歳未満は9,000円増の22万円に、75歳以上は17,000増の94万8000円と

なりました。

75歳以上の医療費は75歳未満の医療費のなんと4倍です。

今から9年後の2025年には、団塊の世代が75歳以上になり、

高齢者数の増加はもちろん、医療・介護費も今の1.5倍に膨らむと

試算されています。

 

現在、日本の「平均寿命」は、女性が約86歳、男性が約80歳と世界で

1,2を争う長寿国となっています。

反対に「健康寿命」は女性が74歳、男性が71歳で、

この「健康寿命」を「平均寿命」に近づけて医療・介護費の削減につなげようと

官民が動いています。

どのような活動をしているのかまとめました。

 

○化粧品メーカーの場合

化粧療法をすることによって、

・気を若くする

・体の健康寿命も伸ばす

・蓋をあけたりすることによって握力がつく

試算によると、化粧をすることで介護費が年14,220円減ると言われています。

仮に、600万人の要介護者が化粧療法を実践したら、

約850億円の介護費削減につながるそうです。

 

○食品メーカーの場合

アミノ酸の技術を生かして、ガンのリスクを早期判定する血液検査を

実用化しました。

早いうちに対処できれば、医療費も削減されるのではないでしょうか。

 

○自治体の場合

高齢者向けのウォーキングルート整備や、健康体操教室の開催など

健康寿命を延ばす活動をしています。

また、若いうちからの取り組みも重要との考えから、30~40代の認知症予防や、

小中学生の生活習慣改善の指導に乗り出している自治体もあります。

 

人は誰しも加齢とともに体力は衰えていくもので、若い頃のようにはいきません。

私たち一人一人が、いつまでも自分の足で歩いて自立した生活が送ることが

できるように「健康寿命」を延ばす努力をしていきましょう。

 

(執筆)内閣府認証NPO法人 日本スマートライフ協会Ⓡ事務局長 秋元美香利

(監修)一般社団法人 任意後見サポートクラブⓇ理事長 佐々和亮

「2025年」のリアルとは? 第3回 / 介護

Y%20Yahoo%21%20Full%20Life%E3%83%9E%E3%82%AC%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%80%8C2025%E5%B9%B4%E3%80%8D%E3%81%AE%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F%E7%AC%AC3%E5%9B%9E%20%E4%BB%8B%E8%AD%B7%E3%81%AE%E8%A8%98%E4%BA%8B%E3%81%AE%E7%94%BB%E5%83%8F2016.8.25.jpg

介護の現状と2025年

現在、日本の要介護(要支援)認定者数は、およそ620万人で、

高齢者の約19%を占めています。

今後の高齢化に伴い、その数は増加し、2025年には800万人を超えると

推計されています。

介護給付費も現在の10兆円超から20兆円に膨れ上がるのではないかと

懸念されています。

このような推計から、「介護」も「認知症」と同じく2025年の大きな課題と言えます。

 

介護の課題とは

介護の課題は、要介護者の日常生活に支障が出ることから、

要介護者の身の回りの世話をするご家族や介護士さん、

ヘルパーさんが必要になることです。

第2回の「認知症」でもお伝えしましたが、ご家族の介護のために離職する人は、

毎年10万人にも達しています。

また、介護にかかる年数が、平均5年となっていることから、介護される人も介護する人も

同じように精神的な負担がかかってくることも課題と言えます。

 

しかし、何と言っても大きな課題は「お金」です。

要介護になると、在宅か施設利用かによって多少の差はありますが、

公的介護保険の範囲外費用として、

初期費用に平均270万円、毎月の費用に平均18万円というお金が必要となってきます。

仮に、介護にかかる平均年数5年で試算してみますと、

270万円+(18万円×60ヶ月)=1,350万円となり、

かなり高額な出費を覚悟しなくてはなりません。

 

要介護になった原因とは

では、そもそもどのような原因で要介護(要支援)になったのでしょうか。

40歳以上の人が介護給付を受けることになった原因の上位5つは、以下の通りです。

第1位 / 脳卒中(全体の19%) (血管が詰まる脳梗塞、一過性脳虚血 / 血管が破れる脳出血、くも膜下出血など)

第2位 / 認知症(16%) (アルツハイマー型、レビー小体型、脳血管性など)

第3位 / 高齢による衰弱(14%) (筋力の低下、活動量の減少、慢性疲労、体重減少など)

第4位 / 骨折や転倒(12%) (うで、手首、大腿骨頚部骨折など)

第5位 / 関節疾患(11%) (関節リウマチ、頸椎症、四十肩・五十肩、痛風など)

このデータから、要介護(要支援)になる原因の70%が上記の5つによるものだと

いうことがわかります。

介護や支援を必要とせず暮らすためには、これらの状態を招かないような生活を

実践することが大切です。

 

介護予防ベスト3

1、生活習慣病(脳卒中、心筋梗塞、糖尿病、がん等)になりにくい食材や調理法を選び、

食生活を改善する。

2、ウォーキングやラジオ体操などを日課に取り入れて、筋力の低下を防ぎ、

運動不足を解消する。

3、日常生活において、自分のことは出来る限り自分でやる。

このことは、長期に渡って安静状態が続くことによりさまざまな心身機能の低下を招く

廃用症候群(生活不活発病)を防ぐために重要なことです。

何でもかんでも人に頼っていると、やる気がなくなったり、頭が回らなくなってしまい、

不定愁訴やうつ、閉じこもりの原因となるからです。

 

これからの介護とは

2025年に向かって、高齢期を迎える人たちは、要介護にならないように、

高齢期に入る前から健康についての知識を深めて、健康づくりに努め、

介護を必要としない、あるいは、介護を必要とする期間を出来る限り短くすることが肝要と言えます。

また、もし要介護(要支援)になっても、リハビリテーションを充実させ、自助(セルフケア)、

互助、そして、地方公共団体が推進する地域包括ケアシステムによる公助を

適切に組み合わせることによって、住み慣れた地域で健常者と同じような生活ができるように

努めることが大切だと思います。

このように、これからの介護は、まず介護にならないように予防すること、

そして、もし要介護(要支援)になっても、ノーマライゼーション*1の精神で、

自分の残存能力を最大限活かして、自分らしく生きることが重要と言えそうです。

 

*1ノーマライゼーション:病気や障がいのある人もない人も平等に暮らせる社会を実現すること。

 

(参考資料)

内閣府「高齢社会白書」

厚生労働省「国民生活基礎調査」「介護保険事業状況報告の概要」

総務省統計局「就業構造基本調査」

生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」

公益社団法人 全国老人福祉施設協議会「認知症フォーラム2015」要覧

 

(執筆)

内閣府認証NPO法人 日本スマートライフ協会Ⓡ 理事長 佐々和亮

「2025年」のリアルとは? 第2回 / 認知症(Part-2)

Y%20Yahoo%21%20Full%20Life%E3%83%9E%E3%82%AC%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%80%8C2025%E5%B9%B4%E3%80%8D%E3%81%AE%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F%E7%AC%AC2%E5%9B%9E%20%E8%AA%8D%E7%9F%A5%E7%97%87%20%EF%BC%88Part2%EF%BC%89%E3%81%AE%E8%A8%98%E4%BA%8B%E3%81%AE%E7%94%BB%E5%83%8F2016.8.25.jpg

自分を認知症にしないための心がけ

 

前回は、「認知症患者の増加と予防の大切さ」について解説しましたので、

今回は「自分を認知症にしないための心がけ」についてお話したいと思います。

認知症の予防法については、まだ確立されていませんが、

生活習慣の影響もあると考えられています。

喫煙や極度の飲酒など、自分の生活スタイルを改善することで、

認知症だけでなくその他の生活習慣病への対処にもなります。

とはいえ、「わかっちゃいるけどやめられない」「長年培った生活習慣を一朝一夕に

変えることはむずかしい」と思われる方もいらっしゃるでしょう。

 

しかしながら、「思いたったが吉日」です。

今回は、数ある認知症予防の方法の中から、誰もが取り組みやすく、

効果が期待できる予防法をご案内させていただきます。

 

認知症予防ベスト2

①料理

料理は、脳を活性化させ、老化を防ぐ総合作業です。

献立を考える→食材を考える→予算を決める→買い物リストをつくる→

スーパーに行く→食材を選ぶ→食材を洗う→包丁で切る→

煮る・焼く・蒸す・炒める→調味料を加減する→皿・丼を選ぶ→盛り付けをするとなります。

そして、作ったり食べたりしながらの会話や、食後の洗い物も大切な要素です。

この流れの中には、プラン、メモ、計算、ウォーキング、季節感を持つ、手先を使う、

感性を高める、会話といった認知症予防につながるポイントがいくつも散りばめられています。

 

そして、食材の選び方についても、以下のようなことを意識できるとなお良いですね。

・ビタミン、ミネラル、食物繊維の多い緑黄色野菜や果物を取り入れること。

・脳の老化を防ぐEPA(エイコサペンタエン酸)を多量に含むサバ、アジ、

イワシ、サンマを摂取すること。

・豆腐は良質なタンパク質を含み、栄養面ですぐれていること。

・ビタミン、ミネラル、カルシウムを含む牛乳などの乳製品も認知症予防に

効果があると言われています。

 

もし、毎日料理することが億劫ならば、せめて1週間に2,3度チャレンジ

してみてはいかがでしょうか。

時には、友人や仲間を誘って一緒に食事をすれば会話もはずむはずです。

 

②軽運動

これは、散歩を含むウォーキングと、ラジオ(テレビ)体操のススメです。

体操にストレッチを組み入れると、更に効果があがるといわれています。

いずれも個体差や身体の事情があるので、無理は禁物ですが、

出来る限り毎日続けることが大切です。

それから、「今日はズルしちゃった!」と休む日があっても、

あまりストレスに感じないようにしましょう。

ストレスは認知症の親友と言われているからです。

軽運動は、マイペースで楽しく実践することが肝要です。

 

以上、「食と軽運動」という生きるための基本的な要素を題材にして

予防法をご案内いたしました。

巷間さまざまな認知症予防法が紹介されていますが、

自分の健康状態や生活環境とよく相談した上で、

予防につとめていただきたいと思います。

 

(執筆)

内閣府認証NPO法人 日本スマートライフ協会Ⓡ 理事長 佐々和亮

「2025年」のリアルとは? 第2回 / 認知症(Part-1)

Y%20Yahoo%21%20Full%20Life%E3%83%9E%E3%82%AC%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%80%8C2025%E5%B9%B4%E3%80%8D%E3%81%AE%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F%E7%AC%AC2%E5%9B%9E%E8%AA%8D%E7%9F%A5%E7%97%87%E4%BA%88%E9%98%B2%EF%BC%88Part1%EF%BC%89%E3%81%AE%E8%A8%98%E4%BA%8B%E3%81%AE%E7%94%BB%E5%83%8F2016.7.29.jpg

○認知症1,300万人時代へ

 

2015年1月7日、厚労省は、2025年の認知症患者数が700万人に達するとの推計を発表しました。

これに、推計600万人ともいわれる軽度認知障がい(MCI)を加えると、1,300万人となり、

このまま進むと国民10人に1人が認知症という2025年社会を迎えることになります。

ちなみに、1,300万人とは、現在の小・中・高校の生徒総数であり、東京都の総人口に

匹敵する数字です。

 

○認知症を自分事と考える

 

人は誰しも加齢とともに判断能力が衰えるとするならば、長寿世界一の日本において

認知症患者が増加することはやむを得ないことかもしれません。

 

問題は、認知症を「明日は我が身」と考えずに、認知症になるリスクの高い生活を続ける人が

多いことです。

それは、生活習慣病患者が一向に減少しないことが証明しています。

また、認知症になったときに備えて、その後の生活をどうするかについて考える人も

少ないようです。

それは、認知症になった後のことを決めておける法制度、「任意後見」の利用率が

向上しない点から見てとれます。

 

確かに今現在、健康であればあるほど認知症への不安はうすらぎ、自分事として

とらえることは難しいかもしれません。

しかし、認知症は、いつ発症するか予測がつかない点に大きなリスクがあります。

このことだけは、しっかり認識していただきたいと思います。

 

○認知症の怖さとは?

 

1、認知症は、早期発見によって進行を遅らせることができるかもしれませんが、

治癒(完治)できる病ではないこと。

2、認知症になったご本人が、通常の社会生活を送ることが困難になること。

特にお金の取り扱いに関することや、さまざまな契約事ができなくなります。

3、認知症の人をひとりぼっちにすることはできません。

つまり、認知症になったご本人の生活の面倒を見る支援者が必ず必要となることです。

 

これは深刻な問題です。

なぜならば、2025年の推計通りに認知症患者が1,300万人に達するとなれば、

同じく1,300万人の支援者が必要となり、 国民の5人に1人、2,600万人が

認知症に関わることになるからです。

このひときわリアルな問題は、ここ数年、毎年およそ10万人の人が、認知症や

介護支援のために 離職を余儀なくされている事実からも、ご理解いただけると思います。

 

○認知症は予防から

 

認知症をめぐる厳しい現実を考慮すると、われわれ日本人は、早くから認知症予防に取り組み、

判断能力を少しでも長く保てるよう生活を改善することが急務です。

そこでPart2では、「自分を認知症にしないための心がけ」についてお話して参りたいと思います。

 

(執筆)内閣府認証NPO法人 日本スマートライフ協会Ⓡ

理事長 佐々和亮

「2025年」のリアルとは? 第1回 / 数字で見る2025年

Yahoo%21%20Full%20Life%E3%83%9E%E3%82%AC%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%80%8C2025%E5%B9%B4%E3%80%8D%E3%81%AE%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F%E7%AC%AC1%E5%9B%9E%20%E6%95%B0%E5%AD%97%E3%81%A7%E8%A6%8B%E3%82%8B2025%E5%B9%B4%20%E8%A8%98%E4%BA%8B%E7%94%BB%E5%83%8F%202106.7.8.jpg

「2025年問題」という言葉を耳にしたことがありませんか。

これから3回シリーズで、この「2025年問題」とは何かについて

検証してみたいと思います。

一般的に、「2025年問題」とは、団塊の世代が後期高齢者になり、

社会保障費の急増が懸念されることを言いますが、 一体全体、2025年に日本は

どんな数字を抱えることになるのかを 見てみましょう。

 

【総人口:1億2千万人】

高齢者数(65歳以上):3,700万人(国民の3人に1人)

後期高齢者数(75歳以上):2,200万人(国民の5人に1人)

認知症患者数:700万人(国民の7人に1人)

軽度認知症(MCI)患者数:500万人(国民の24人に1人)

要介護者数:700万人(国民の17人に1人)

平均寿命:女性88.2歳、男性81.4歳

出生数:80万人

総世帯数:5,000万世帯

高齢者世帯数:1,500万世帯

空き家戸数:1,500万戸

(出典:内閣府、総務省、厚労省、国交省、国立社会保障・ 人口問題研究所、

日本総合研究所等の推計・予測による)

 

< 国民およそ3人で1人の高齢者を支える社会に! >

ほんのさわりだけを並べてみましたが、人類がまだ経験したことのない 超高齢化とは、

いかに大変な社会問題なのかがご理解いただけたと思います。

しかも、世界中のどの国よりも早く超高齢化社会に突入するのが我が日本 なのです。

あまり想像したくありませんが、このままいくと、2025年は、高齢、認知症、要介護、

単身、低所得・・・が渦を巻く社会になると言わざるを得ないようです。

 

最早3,000日あまりに迫った2025年。

われわれ生活者は、「2025年問題」にどのように挑んでいけば良いのでしょうか。

第2回は「認知症」、第3回は「介護」をテーマに取り上げ、予防を軸にして

お話してまいりたいと思います。

 

(執筆)内閣府認証NPO法人 日本スマートライフ協会Ⓡ

理事長 佐々和亮

【労災請求が3年連続最多更新した「心の病」って何?】

Y%20Yahoo%20Full%20Life%E3%83%9E%E3%82%AC%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%80%8C%E5%8A%B4%E7%81%BD%E8%AB%8B%E6%B1%82%E3%81%8C3%E5%B9%B4%E9%80%A3%E7%B6%9A%E6%9C%80%E5%A4%9A%E6%9B%B4%E6%96%B0%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%8C%E5%BF%83%E3%81%AE%E7%97%85%E3%80%8D%E3%81%A3%E3%81%A6%E4%BD%95%EF%BC%9F%E3%80%8D%E3%81%AE%E7%94%BB%E5%83%8F2016.7.6.jpg

 

厚生労働省が6月24日、2015年度の「過労死等の労災補償状況」を公表しました。

過労などが原因で精神障がいとなり、労災請求をした人は1515人で、前年度比59人増。

3年連続で過去最多となりました。

精神障がいで労災認定をされた人の数は472人と前年より25人減りましたが、

過去3番目に多い数字でした。

 

このように依然、高止まりが続いている「心の病」とはどんな病気なのでしょうか。

以下にまとめてみました。

 

【心の病気の種類】

こころの病気といっても、種類も症状も様々です。

こころの病気を診断し、病名をつける方法は体の病気とは考え方が異なっています。

体の病気の場合、病名は臓器の種類や部位、原因によって分類されることが多いのですが、

こころの病気の場合は、おもに脳というひとつの臓器を対象にしており、

また原因がわかっていない疾患が多いという特徴があります。

以下が病気の種類です。

・アルコール依存症

・うつ病

・解離性障害

・強迫性障害

・睡眠障害

・摂食障害

・双極性障害(躁うつ病)

・適応障害

・統合失調症

・認知症

・パーソナリティー障害

・発達障害

・パニック障害

・不安障害

・PTSD

・薬物依存症

・性同一性障害

・てんかん

 

心の病気は、社会的な環境やストレスの状態も含めて総合的に診断することが

治療方針を決める上でとても大切だと言われています。

同じうつ病という診断がついた場合でも、ストレスがきっかけの場合もあれば、

体の病気と関係していることもあるので、「うつ病=ストレス」と決めつけたりするのは

注意が必要ではないでしょうか。

 

【心の病気の症状】

種類と同様に、症状も様々です。

身体の病気の場合は、検査や採血などをすれば診断がつくことがありますが、

こころの病気は、本人の主観的経験も含めて、医師が症状と経過を総合的に判断して

診断をすることになります。

また症状は、自分で気づきやすい症状もありますが、

家族など周りの人が変化に気づくケースもあります。

このような症状を身体・心理・生活・行動面に分けて以下にまとめました。

 

①身体面の症状

・疲労、全身倦怠感 ~体がだるい、重い、疲れがとれない~

・動悸・めまい ~心臓がどきどきする、息苦しい、めまいがする~

・頭痛 ~頭が痛い、ずっしり重く感じる、ズキズキ痛む~

・不眠 ~寝つけない、何度も目が覚める~

・食欲不振 ~おいしく食べられない、何も食べたくない~

 

②心理面の症状

・憂鬱(ゆううつ) ~気持ちがしずむ、楽しいことがない~

・不安緊張 ~気持ちが落ち着かない・どきどきして心細い~

・怒り ~イライラする、怒りっぽくなる~

・幻聴 ~誰もいないのに声が聞こえる~

 

③生活・行動面の変化

・生活の乱れ ~服装の乱れ、昼夜逆転している、生活が不規則~

・行動の変化 ~ミスが増える、ぼんやりしている、遅刻が増える~

・自傷行為 ~リストカットや抜毛など、自分を傷つける~

・ひきこもり ~外出したくない、人に会いたくない~

 

これらの症状が心の病気の可能性を考える有力な手がかりとなるわけですが、

症状があるからといって病気であるとは限りません。

私たちはいつもストレスにさらされながら生活しています。

大きな出来事があれば眠れないこともありますし大切な人が病気になれば

気持ちが憂うつになります。

これは自然な反応です。

健康な人では、何かの症状や変化が出ていても、ストレスが去れば元の状態に

戻る力があります。これを復元力(レジリエンス)といいます。

この復元力が十分働いているときは病気にはなりにくいと言われています。

ただ、症状が長く続いたり、生活するうえで支障が大きく、つらくて苦しいといった場合には

病気の可能性がありますので、ご注意ください。

 

いかがでしたか。

近年は、精神疾患により医療機関にかかっている患者数は増加しており、

平成23年には320万人と依然300万人を超えています。(福島県と宮城県の一部を除く)

 

内訳は多いものから、

・うつ病

・統合失調症

・不安障がい

・認知症となっており、

中でも、うつ病と認知症の著しい増加がみられます。

 

特に認知症の増加は、超高齢化社会をむかえる我が国にとっては深刻な課題です。

また、近年のデルファイ法*1による調査では、うつ病患者が認知症になりやすいという

結果が公表されています。

「自分はうつ病にならない」「自分はボケない」などと思い込まずに、心の病と理解して

予防することが重要ではないでしょうか。

 

(*1)デルファイ法:多数の専門家や個人にアンケート調査を行ない、

その結果を回答者にフィードバックして、正確度を上げながら全体の答えや意見を絞っていく手法。

 

(執筆)

一般社団法人 任意後見サポートクラブⓇ

事務局長 秋元美香利

 

(監修)

内閣府認証NPO法人 日本スマートライフ協会Ⓡ

理事長 佐々和亮

 

(参考資料)厚生労働省 みんなのメンタルヘルス

http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/

【3年連続最多更新!認知症不明者1.2万人超!】

Y%20Yahoo%21%20Full%20Life%E3%83%9E%E3%82%AC%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%80%8C3%E5%B9%B4%E9%80%A3%E7%B6%9A%E6%9C%80%E5%A4%9A%E6%9B%B4%E6%96%B0%EF%BC%81%E8%AA%8D%E7%9F%A5%E7%97%87%E4%B8%8D%E6%98%8E%E8%80%851.2%E4%B8%87%E4%BA%BA%E8%B6%85%EF%BC%81%E3%80%8D%E3%81%AE%E8%A8%98%E4%BA%8B%E7%94%BB%E5%83%8F%20.jpg

 

警察庁のまとめによりますと、昨年1年間に認知症が原因で行方不明になり、

家族などから全国の警察に届出のあった人は、1万2208人に上り、

前年から1425人(13.2%)増えたことがわかりました。

 

統計は2012年から取り始めて、3年連続で最多を更新しています。

不明者のうち、98.8%の1万2058人は昨年中に所在が確認されましたが、

残りの150人は年末までの発見に至らなかったそうです。

 

男女の内訳は男性が7012人、女性が5196人で、都道府県別では大阪が1791人と

一番多く、次いで、兵庫の1309人、愛知の1150人、神奈川の562人と続きました。

 

発見までの期間は、不明の届出をした当日が8310人、2日~1週間が3562人と

大半を占めましたが、中には2年以上経過した方が27人いました。

 

一方で、桜美林大学老年学総合研究所の調査によりますと、

認知症で行方不明になった方の発見が5日目以降になると“生存率ゼロ”という驚きの

結果も出ています。

また、亡くなった方の4割が軽い認知症(軽度認知症)だったようで、

「軽度だから大丈夫という先入観を持ってはいけない」と警鐘を鳴らしています。

 

2015年1月の厚生労働省の推計によりますと、2025年には認知症患者数が700万人

という推計が出ています。

それに加えて、「軽度認知症(MCI)やプレアルツハイマ―」も含めたら、1,300万人になる

とも言われています。

 

また、2025年には、団塊の世代の方が75歳以上の後期高齢者となります。

国民の3人に1人が65歳以上に、5人に1人が75歳以上という人類が経験したことのない

「超高齢化社会」を迎えるのです。

 

今回の統計から鑑みますと、この2025年には認知症不明者がいったい何人程度に

なるのか、想像することすら恐ろしくなってきます。

 

認知症はもはや家族だけでは抱えきれない問題です。

家族だけで抱え込んでしまうと、仕事を辞めざる得なくなったり、精神的に不安定になったりと、

認知症患者と共倒れになってしまう恐れがあります。

 

最近は、顔認証で徘徊を防止したり、GPS機能を使って徘徊を防止する商品を

開発する企業も出てきているようです。 

今や、「国民病」となった認知症に対応するには、認知症を他人事と思わずに、

警察や自治体、企業や地域が連携して早期発見や保護をし、国民全体で取り組んでいく

ことが大切なのではないでしょうか。

 

(執筆)

一般社団法人 任意後見サポートクラブⓇ

事務局長 秋元美香利

 

(監修)

内閣府認証NPO法人 日本スマートライフ協会Ⓡ

理事長 佐々和亮

【ウォーキングが「がんリスク」を下げるって本当?】

Y%20Yahoo%21%20Full%20Life%E3%83%9E%E3%82%AC%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%80%8C%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%8C%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%82%92%E4%B8%8B%E3%81%92%E3%82%8B%E3%81%A3%E3%81%A6%E6%9C%AC%E5%BD%93%EF%BC%9F%E3%80%8D2016.6.23.jpg

 

2016年5月16日、米国立がん研究所、米国立衛生研究所、

米国がん学会の合同チームによる研究で、ウォーキングなどの活発な運動を

週5日以上行なっている人は、ほとんど行わない人に比べて、

がん全体の発症リスクが7%低くなったとの研究成果を米医師会誌「JAMA」で発表しました。

 

研究チームは、19歳~98歳の男女約144万人の健康データベースを作成し、

生活習慣とがんの発症について11年間追跡をしました。

期間中に約18万7000人の方ががんになりました。

そして、追跡していた方々が自己申告した、日ごろの運動内容によって、

26種類のがんの発症リスクに差があるかどうかを分析した結果、

13種類のがんに運動との関連が見られました。

 

13種類のがんの発症リスクの低減を、差が大きい順から示すと以下の通りになります。

1、食道がん(42%)

2、肝臓がん(27%)

3、肺がん(26%)

4、腎臓がん(23%)

5、胃がん(22%)

6、子宮体がん(21%)

7、骨髄性白血病(20%)

8、骨髄腫(17%)

9、結腸がん(16%)

10、頭頸部がん(15%)

11、直腸がん(13%)

12、膀胱がん(13%)

13、乳がん(10%)

 

今回の研究で、運動ががん予防に役立つ理由は明らかにできませんでしたが、

運動をすると、様々ながんの発症に関係するホルモン値が低下することがわかりました。

特に、インスリンの値が抑制されたことが重要と指摘しています。

 

「どうしてインスリン値がおさえられるとよいのでしょうか?」

それは、がんの発症リスクが高くなるメカニズムのひとつに、肥満や運動不足によって

「高インスリン値」になることが影響していることがわかったからです。

これは、糖尿病の前段階です。

血液中のインスリン値が上昇すると、細胞の増殖や成長促進の働きをする

IGFという物質の活動が活発になります。すると、がん細胞の成長も促進されて

どんどん増殖されていくのです。

 

インスリン値は、血糖値が高くなると上昇しますが、運動をすると血糖値が下がるので、

インスリン値は正常になります。

また、男性ホルモンや女性ホルモンの分泌が乱れるとがん細胞が増殖しやすくなりますが、

運動をして体脂肪を減らすと、これらの性ホルモンの分泌が調整されて、

がん発症のリスクが下がると考えられています。

さらに、運動には、がん細胞の発生を誘発する「活性酵素」を除去して、

体全体の免疫力を高める効果があると言われています。

 

平成26年度の「国民健康・栄養調査」(厚生労働省)を見ますと、

わが国の運動習慣のある人の割合は、男性が31.2%、女性が25.1%でした。

年齢階級別にみると、男性では30歳代、女性では20歳代が運動習慣の

割合が最も低く出ました。

 

少しさかのぼりますが、世界保健機関(WHO)が2010年9月の会合で

公表した調査結果によると、なんと日本人は、15歳以上の約65%(およそ3人に2人)が

「運動不足」と結論づけられています。

これを他国の運動不足比率と比べてみますと、

米国43.2%

フランス33.0%

中国30.6%

ドイツ30.4%

     ・

     ・

     ・

     ・

     ・

日本65.0%

“劣等生”ぶりが歴然ですね。

 

次に、一日に歩く歩数の平均値ですが、男性は7,043歩、女性は6,015歩と、

この10年間で男性は減少し、女性は変化がありませんでした。

健康の指針の一つ「健康日本21」では、成人男性9000歩・女性8500歩以上を

一日の目安としています。

ちなみに65歳以上の場合は男性7000歩、女性6000歩を一日の目安と

していますが、実際は、65歳以上では男性5,779 歩、女性 4,736 歩と

男女ともに目安の数値よりも約1,300歩少ない値が出ています。

 

近年は、食品や商品のデリバリーサービスの活発化や、ネットショップの普及

などによって便利になり、人々が体を動かすことも少なくなってきているように思います。

しかし、便利になってもウォーキングを習慣にすることで、がんの発症リスクを抑制して、

健康的な生活を送ることはとても大切なことだと言うことができそうです。

 

これを機に、ウォーキングをはじめてみてはいかがでしょうか。

 

(執筆) 一般社団法人 任意後見サポートクラブ

事務局長 秋元美香利

 

(監修) 内閣府認証NPO法人 日本スマートライフ協会

理事長 佐々和亮

 

(参考資料) 厚生労働省 平成 26 年 国民健康・栄養調査結果の概要 http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000117311.pdf 

【ハロー!メッセージ】 「認知症介護フォーラム2015」に参加して

  Yahoo%21%20Full%20Life%E3%83%9E%E3%82%AC%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%80%8C%E3%83%8F%E3%83%AD%E3%83%BC%EF%BC%81%E3%83%A1%E3%83%83%E3%82%BB%E3%83%BC%E3%82%B8%E8%AA%8D%E7%9F%A5%E7%97%87%E4%BB%8B%E8%AD%B7%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%A0%E3%81%AE%E8%A8%98%E4%BA%8B%E3%81%AE%E7%94%BB%E5%83%8F%E3%80%8D.jpg

  平成28年3月24日(木)、公益社団法人 全国老人福祉施設協議会主催の

「認知症介護フォーラム2015」が東京品川で開催されました。

今回のテーマは「 “日本式KAIGO”が担う認知症ケアの未来 」。

 

今や世界一の長寿国であり、超高齢化社会を迎えた日本ですが、

2025年に高齢者人口はピークを迎え、認知症患者も現在の約500万人から

約700万人になると推計されています。

また、要介護認定者も600万人を超えています。

もはや、家族だけだは抱えきれない認知症介護問題。

今回のフォーラムでは、

①国全体で「認知症患者を理解」する。

②認知症患者ご本人や、介護をしているご家庭を

「孤立させないよう地域で取り組む」。

③認知症患者ご本人の「意思を尊重」する。

④特別養護老人ホームでの「先進的な介護」。

以上の4点がテーマとなっていました。

ひとつずつ以下にまとめていきます。

 

①国全体で「認知症患者を理解」する。

はじめに、認知症には「中核症状」と「周辺症状(BPSD)」が

あると思ってください。

「中核症状」とは、

・記憶障がい

・失語

・失行

・失認

・実行機能障がいなど、

認知症になると、少なくともひとつは必ずある症状のことを 言います。

 

そして、それを包むように周辺症状(BPSD)があります。

「周辺症状(BPSD)」とは、

心理に関する症状(不安・興奮・焦燥・妄想・幻覚・無気力)と、

行動に関する症状(徘徊・暴言・暴力・介護への 抵抗・過食・拒食・不眠)に

分かれますが、いずれも 面談や観察によって明らかになるものです。

 

認知症ケアが大変なのは、これら周辺症状(BPSD)に加えて、

生活障がいも発生するためです。

生活障がいとは、いわゆるADL(食事・排泄・入浴・更衣・ 整容・歩行)など

日常生活動作が困難になることです。

 

このように、認知症を理解するには、1つ1つの症状を「点」で

考えるのではなく、「面」としてとらえることが必要になります。

 

もうひとつ、認知症の初期症状の代表例についても紹介 されていたので、

早期発見のために参考にしてみてください。

○片手で食事をする(右脳と左脳がつながらなくなる)

○服の着方・脱ぎ方がわからなくなる

○布団をきちんと敷けない・寝る方向がわからない

○ドアが開けられない(ドアノブを回す、回転させることが できなくなる)

○便座と自分の位置関係がわからなくなる

○歯磨きの方法がわからなくなる

 

②認知症患者ご本人や、介護をしているご家庭を「孤立させないよう 地域で取り組む」。

「私はぼけないから大丈夫」

「うちの親はしっかりしているから絶対にぼけない」・・・。

このように言う方がいますが、認知症という病気は 誰にでも起こりうる

「国民病」と言っても過言ではありません。

それだけに、地域での認知症介護への取り組みは重要です。

 

さて、地域での取り組みはさまざまですが、最大テーマは、

「認知症や介護に対する必要情報の提供および共有」で 共通しています。

具体的には、医師・介護士・ヘルパーさんなどによる学習会、

認知症・介護予防教室の実施、学校教育の一環として、 高齢者とのふれあいによる、

認知症への理解や、介護用具の 使い方の学習などが挙げられます。

孤立を招かないようにするには、たとえ認知症や要介護に なったとしても、

ひとりで抱え込まないで、良いことも悪いことも 情報開示して、

地域で共有することが大切です。

 

③認知症患者ご本人の「意思を尊重」する。

④特別養護老人ホームでの「先進的な介護」。

 

近年、先進国では、認知症などで判断能力が不十分であっても、

「本人の意思を尊重しましょう」という考えが主流となっています。

今までは「認知症」と聞くと、悲観的で介護する側もされる側も

辛い状況に置かれるイメージがありました。

もちろん、介護は決して楽なものではありません。

しかし、このフォーラムに参加して、現在の介護は、施設毎に

様々な知恵を絞って認知症患者の方と向き合っている ことがわかりました。

以下に、興味深かった方法についてご紹介します。

 

○「回想法」

これは、かつて経験したことや、過去の出来事を思い出すことで、

脳の活性化、精神状態の安定、明日への活力を生みだそうと いうものです。

具体的には、クラス会・同窓会・若い頃の写真を見せたり、 懐かしい音楽や匂いなど

五感で覚えていることをきっかけにします。

 

○「タクティールケア」

スウェーデン発の方法です。 ツボや筋肉の刺激ではなく、

手をふれあうなど、 優しい接触を継続的に行なうことで、

相手の不安感情を抑制しよう というものです。

 

○「バリデーション」

認知症の人の経験や感情を会話の中で共有・共感し、

力づけることによって、失望感や不安感を緩和しようというものです。

 

認知症は家族の顔や名前、自分自身のことも分からくなってしまう

大変辛い病気ですが、今回このフォーラムに参加して、 施設の取り組みや

家族のサポート、地域の連携により、 患者ご本人の残存能力を引き出し、

その人らしさを失わない 生き方を実践することが大切だと学ぶことができました。

 

(執筆)一般社団法人 任意後見サポートクラブⓇ

事務局長 秋元美香利

 

(監修)一般社団法人 任意後見サポートクラブⓇ

理事長 佐々和亮

http://www.nin-sapo.or.jp

 

(参考資料)

認知症介護フォーラム2015 / 要覧

公益社団法人 全国老人福祉施設協議会

http://www.roushikyo.or.jp

 

「認知症と人間の尊厳:パリ郊外の老人ホームでのジャンヌの暮らしから」

 futta0014-1920x1080.jpg

はじめまして、私は主に仏語を専門に翻訳や通訳の 仕事をしている

「青山真帆(あおやま まほ)」です。

今回お届けするのは、私とフランスの友人との小さな物語です。

 

私には2010年までの13年間、パリジェンヌの友達がいました。

彼女の名前はジャンヌ。 知り合った1997年当時、彼女は既に70代後半で、

日本で言うところの後期高齢者でした。

私の仕事を通じて知り合えた、親子以上に年の離れた友達でした。

ジャンヌは私がパリにいる間は、自分のモンパルナスのアパルトマンに 泊めてくれたり、

部屋を数か月貸してくれたりしました。

私もその後、日本や海外から何度も絵葉書をジャンヌに送り、 13年の間に交わした手紙は

相当な数に上りました。

 

そして2009年頃、ジャンヌからの返信が途絶えるようになった時、

彼女の孫娘から次のようなe-メールが届きました。

「ジャンヌはアルツハイマー病が酷くなったため、モンパルナスのアパルトマンを手放して、

パリ郊外の老人ホームに入居する事になったの。 だからジャンヌに手紙を書くなら老人ホーム宛てに

送ってあげてね。」

 

それから私は何通か老人ホーム宛てに手紙を送りました。

認知症で自分の子供の顔や名前すら判らないのに、外国人の私に 返事が来るはずもありません。

しかしその年のクリスマスに、思いがけずジャンヌから手紙が届きました。

手紙の様子では、意識や記憶がしっかりしており、一時的に認知機能を取り戻したかのように思えました。

 

翌2010年の初夏、私は仕事でパリを経由する事となったため、 ジャンヌの住んでいるパリ郊外の

老人ホームを訪ねる事にしました。

電車とバスに揺られる事1時間半程度だったでしょうか。 豊かな自然の中にそのホームはありました。

介護士さんにジャンヌの部屋番号を 教えてもらいドアをノックすると、

彼女はベッドに横になっていましたが、 私の顔を見るなりすぐさま起き上がり、

パッと華やいだ笑顔を見せてくれました。

ただ私が誰なのかは判っていないようでした。

私の事を新人の介護士さんと勘違いしているようにも見受けられました。

 

駅前で買ってきた花束を花瓶に活けると、ちょうどお昼時となりました。

私は老人ホームのスタッフさんからジャンヌを食堂に連れて行くよう頼まれました。

1階にある広間の大テーブルでは既に7~8人の入居者さんがランチを 待っていました。

ジャンヌは自分の席に着き、私はそこから2メートルばかり離れた場所から、

ジャンヌや他の入居者さんが揃って食事をするのを眺めていました。

私の隣には個別の小さなテーブルがあって、車椅子のお婆さんが同じくランチを待っていました。

多分このお婆さんが大テーブルから離されていたのには理由があるのでしょう。

お婆さんのつぶやきや妄想のような話に相槌を打ちながら、私は2メートル先のジャンヌの姿を

観察していました。

 

フランスの家庭では毎日フルコースを食べる訳ではありませんが、 それでも、アントレ(前菜)、

メインディッシュ、チーズ、デザートといった具合に、 順番に皿が出てきます。

そしてこの老人ホームでも、その鉄則は守られていました。

この日のアントレは、キャロット・ラぺと言うにんじんサラダでした。

テーブルの入居者さん達は皆、介助者の手を借りずに自分で食べていました。

黙々と食べる人、隣の人とお喋りする人…。そしてその後、介護士さんが言った言葉を聞いて

私は自分の耳を疑いました。 「さあ皆さん、今日のメインは子羊のリブステーキですよ!」

 

「子羊のリブステーキ…?」日本では誤嚥を防ぐため、とろみ食、きざみ食やミキサー食が

介護施設で提供されている場合があります。

それから考えると、歯も弱いであろう高齢者にリブステーキを提供するなんて、

私にとってはあり得ない話でした。

仰天している私をよそに、次々と入居者さんの前に美味しそうな匂いを漂わせる

 リブステーキが運ばれてきます。

ひとりの入居者さんが「いつも量が多いって言っているのに、

相変わらずたくさん出てくるのよね」とこぼしているのが聞こえてきました。

フォークとナイフを使って自分で肉を切る事が出来ない入居者さんに対しては、

介護士さんが肉を一口大に切り分けていました。

ジャンヌは丁寧にナイフとフォークを使っていつものように優雅に食べていました。

ほぼ全員がステーキを完食する事は出来なかったのですが、次にはデザートが待っていました。

「今日はチョコレート・ムースですよ!」食事介助の場面に介護士さんはほとんど

登場しませんでしたが、「〇〇さんのデザートはいつもの桃のヨーグルトね」等と、

個々人のニーズに合わせて対応しているようでした。

 

また、食事に時間をかけるのはフランス人特有ですが、ここでもそれは同様で、

昼食が終わるまでゆうに2時間はかかったでしょうか。 

この老人ホームでは、食事の内容も食事にかける時間も、元気だった頃と

全く同じようにしているのです。

その一方で、入居者さん達は多くを食べ残しておりそれらは廃棄されるのでしょう。

日本人の視点からすると「モッタイナイ」です。

また、食事として固形物を提供して誤嚥や消化不良をおこしてしまったら大変です。

しかしそれでも、例え認知症になって周りの人が誰だか判らなくなっても、

入居者さんがそれまで暮らしていた生活と出来るだけ同じような 生活を送れるようにする

という考え方は、その人の尊厳を大切にする事であり、

フランスの人権意識に根差したものだと感じました。

 

この考え方はレクリエーションにも表れていました。

老人ホームには小さな劇場が併設されていて、時々お芝居やコンサートが開かれるのだそうです。

そこは老人ホーム以外の町の人々にも開放されていて、入居者さん達は元気で暮らしていた頃と

同じように、 観劇の日にはお洒落をして出かけるのでしょう。

ジャンヌも映画と音楽が大好きでした。

 

もうひとつ気づいた事は、介護士さんが入居者さんに対して必ず「敬語」を用いて話す事で、

それもファーストネームではなく苗字で「ムッシュー〇〇、マダム〇〇」と呼びかけていた事でした。

相手の認知機能が低下してしまっていても、人生経験豊富な人生の先輩として敬う、

そのような姿勢を私は感じました。

 

色々と考えさせられたその老人ホームを後にした私に、1か月後、ジャンヌが亡くなったとの知らせが

届きました。

心不全により90歳の命を終えました。

あの老人ホームで、ランチが終わった後、 窓の外に広がる青空をジッと眺めながら、

ジャンヌが私に語りかけた最後の言葉が今もなお耳に残っています。

「私は今、自分がどういう所に居るのかを知っているの。そして、ここで私がしなければならない事、

それは、 どんな境遇に置かれようとも、生きていくという事なのよ。」

最期の時まで、ジャンヌは誇り高く人生を生きぬいたのでした。

 

私は仕事柄、日本とヨーロッパを行き来しています。

今後も折に触れ、現地の高齢者事情をレポートしたいと思っています。

日本の高齢者の方々へのメッセージとして受け取っていただけると幸いです。

 

(執筆)任意後見サポーター・翻訳家 / 通訳者(仏語) 青山真帆

(監修)一般社団法人 任意後見サポートクラブⓇ